投資において為替の影響を理解することは非常に重要です。為替とは、異なる通貨間の交換比率を指し、国際的な投資活動において大きな影響を与えます。今回は、米ドルを例に、為替変動が投資に与える影響を具体的に解説します。
為替とは?
為替とは、異なる通貨間の交換比率を指します。例えば、1ドル=100円という為替レートは、1ドルを100円に交換できることを意味します。この為替レートは市場の需給バランス、経済指標、政治情勢などによって日々変動します。
為替ヘッジに関しても記事にしています。
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円高と円安について
為替レートの変動は、円高や円安といった形で投資に大きな影響を与えます。以下に、円高と円安の具体的な影響を説明します。
円高とは?
円高とは、円の価値が外国通貨(この場合はドル)に対して上昇することを指します。例えば、1ドル=110円から1ドル=100円になることを円高といいます。
110円(1ドル)で買えていた米国産のリンゴが100円(1ドル)で買えるようになるイメージです。円の価値が上昇することで外国の商品(外貨資産)を買うのに必要な円がより少なくなった(円の価値が高くなった)ということですね。
円高の影響
輸入品の価格低下
円高になると、海外からの輸入品の価格が下がります。例えば、1ドル=110円の時に購入していた100ドルの商品が、円高により1ドル=100円になれば、以前よりも安く購入できます。
海外旅行が割安に
円高になると、日本人が海外旅行をする際の費用が安くなります。旅行先での買い物や滞在費用が減少し、旅行がしやすくなります。
海外資産の購入コスト削減
円高は、海外の不動産や企業買収など、大型の投資を行う際のコストを削減します。日本企業が海外進出をする際に有利に働きます。
円安とは?
円安とは、円の価値が外国通貨(この場合はドル)に対して下落することを指します。例えば、1ドル=110円から1ドル=120円になることを円安といいます。
110円(1ドル)で買えていた米国産のリンゴが120円(1ドル)で買えるようになるイメージです。円の価値が下落することで外国の商品(外貨資産)を買うのに必要な円がより多くなった(円が安くなった)ということですね。
円安の影響
輸出企業の利益増加
円安になると、日本の輸出企業にとって有利です。円安により日本製品の価格が海外で安くなるため、競争力が向上し、売上が増加します。
海外投資の評価益
円安になると、外国資産の評価額が上昇します。例えば、ドル建ての株式や債券を持っている場合、円の価値が下がると、同じドルの価値が円換算で高くなり、資産の評価額が上がります。
観光業の活性化
円安になると、日本への外国人観光客が増加します。観光客にとって日本の物価が安く感じられるため、観光業や関連サービス業の業績が向上します。
ここからが為替ヘッジについての説明です。
為替変動の影響:具体例
前提条件
・投資商品:米国株
・初期投資額:10,000ドル
・ 投資時の為替レート:1ドル=100円
円高に変動する時
1. 投資商品(米国株)の価格が変動しない場合
・為替レート:1ドル=90円
・円ベースの価値:10,000ドル × 90円 = 900,000円
・為替損失:1,000,000円 - 900,000円 = 100,000円の損失
2. 投資商品(米国株)の価格が上昇した時
・米国株が10%上昇して11,000ドルになる
・為替レート:1ドル=90円
・円ベースの価値:11,000ドル × 90円 = 990,000円
・為替損失:1,100,000円 - 990,000円 = 110,000円の損失
3. 投資商品(米国株)の価格が下落した時
・ 米国株が10%下落して9,000ドルになる
・為替レート:1ドル=90円
・円ベースの価値:9,000ドル × 90円 = 810,000円
・為替損失:1,000,000円 - 810,000円 = 190,000円の損失
【円高】結論
1.投資商品(米国株)の価格が変動しない場合
投資商品(米国株)の価格は変動しなかったが円高の影響により損失を出した。
2. 投資商品(米国株)の価格が上昇した場合
投資商品(米国株)の価格は上昇したが、円高の影響により利益を失い損失を出した。
3. 投資商品(米国株)の価格が下落した場合
投資商品(米国株)の価格が下落したことに加え、円高の影響により損失を拡大した。
【総括】
円高に変動する場合は外貨建資産に投資する場合、為替の影響で損失を出しやすくなる。
円安に変動する時
1. 投資商品(米国株)の価格が変動しない場合
・為替レート:1ドル=110円
・円ベースの価値:10,000ドル × 110円 = 1,100,000円
・為替利益:1,100,000円 - 1,000,000円 = 100,000円の利益
2. 投資商品(米国株)の価格が上昇した時
・米国株が10%上昇して11,000ドルになる
・為替レート:1ドル=110円
・円ベースの価値:11,000ドル × 110円 = 1,210,000円
・為替利益:1,210,000円 - 1,000,000円 = 210,000円の利益
3. 投資商品(米国株)の価格が下落した時
・米国株が10%下落して9,000ドルになる
・為替レート:1ドル=110円
・円ベースの価値:
・9,000ドル × 110円 = 990,000円
・為替利益:990,000円 - 1,000,000円 = 10,000円の損失
【円安】結論
1.投資商品(米国株)の価格が変動しない場合
投資商品(米国株)の価格は変動しなかったが円安の影響により利益を出した。
2. 投資商品(米国株)の価格が上昇した場合
投資商品(米国株)の価格は上昇したことに加え、円安の影響により利益を拡大した。
3. 投資商品(米国株)の価格が下落した場合
投資商品(米国株)の価格が下落したが、円安の影響により損失を減少させることが出来た。
【総括】
円安に変動する場合は外貨建資産に投資する場合、為替の影響で利益を出しやすくなる。
まとめ
為替変動は、投資のリターンに大きな影響を与える要因です。円高になると、海外投資の円ベースの価値は減少し、逆に円安になると価値が増加します。為替リスクを理解し、適切な投資戦略を立てることが重要です。
上記の6つの例から分かるように円高の際は外貨建資産は損失を出しやすくなり、円安の際は外貨建資産は利益を出しやすくなります。
例で示した円高の際などの為替リスクを軽減するためには、為替ヘッジを活用することも一つの手段です。投資家は、自分のリスク許容度や投資目的に応じて、為替リスクの管理方法を検討する必要があります。
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