底辺会社員の投資備忘録

年収500万円台の高卒底辺兼業投資家💰の備忘録

4%ルールの根拠と再現性について

今回は、退職後の生活資金を計画する際に役立つ「4%ルール」について、その根拠と再現性を解説します。特に、日本の読者向けに円での説明を行い、老後2000万円問題やFIREの4つの形にも触れます。

4%ルールとは?


4%ルールは、退職後の資金計画において、毎年の引き出し率を4%に設定することで、長期間にわたり資産を維持できるというガイドラインです。このルールは、特にFIRE(Financial Independence, Retire Early)ムーブメントの中で広く知られています。

具体例


例えば、1億円の退職資金がある場合、初年度に4%である400万円を引き出します。次年度以降は、インフレ調整を行いながら、同じ金額を引き出していきます。この方法により、30年間以上にわたり資産を維持できるとされています。

なぜ4%なのか?


4%という引き出し率は、経済成長率とインフレ率のバランスに基づいています。アメリカの一般的な株価の成長率は約7%、インフレ率は約3%とされており、実質リターンは約4%です。このため、4%の引き出し率であれば、資産の価値が減少することなく長期間にわたって引き出しを続けられるという前提です。

経済成長率とインフレ率の関係


株式市場の平均リターン:7%
インフレ率:3%
これにより、実質的な資産成長率は4%となります。この4%の成長を活用しつつ、元本を減らさずに生活費を賄うための引き出し率が4%となっています。

4%ルールの根拠

ベンゲンの研究


1994年にウィリアム・ベンゲンが提唱したこのルールは、過去の市場データを基に、どの程度の引き出し率が資産を枯渇させないかを分析したものです。ベンゲンは、1926年から1976年までのアメリカの市場データを用いてシミュレーションを行い、4%の引き出し率であれば30年間以上にわたり資産が尽きることなく維持できることを発見しました。

トリニティスタディ


1998年にはトリニティ大学の教授らによる追加の研究(トリニティスタディ)が行われ、ベンゲンの結果を支持する結論に至りました。この研究でも、4%ルールが退職後の30年間にわたって資産を維持できることが確認されています。

4%ルールの再現性


4%ルールの再現性については、多くの議論があります。特に、過去の市場データに基づくこのルールが、将来の市場環境でも同様に適用できるかどうかが重要なポイントです。

ポートフォリオの多様性


4%ルールが成功するためには、ポートフォリオの多様性が重要です。株式と債券の適切な配分を維持することで、リスクを分散し、異なる市場環境に対応することができます。グローバルに分散されたポートフォリオが、より再現性の高い結果をもたらすと考えられます。

市場の変動


過去のデータに基づくシミュレーションは、未来の市場動向を完全に予測するものではありません。低金利環境や高インフレ時代など、過去に見られなかった市場環境が再現性に影響を与える可能性があります。

インフレ調整


4%ルールは、インフレ調整を前提としています。これにより、退職後の生活費が年々増加することを考慮し、引き出し額を調整します。しかし、インフレ率が予測よりも高くなると、計画が崩れる可能性もあります。

シーケンスリスク


シーケンスリスク(引き出し初期の市場下落リスク)は、4%ルールの再現性に大きな影響を与えます。引き出し開始直後に市場が大幅に下落すると、資産が早期に減少し、計画通りに資産を維持できなくなるリスクがあります。

定年退職後の資金計画


視覚的、直感的に理解しやすい式を以下に示します:

資産計画の式


まず、日本の年金制度を考慮した上での資産計画の式です。

必要な退職資金 = (年間生活費 - 年金収入) ÷ 0.04
例えば、老後に年間400万円の生活費が必要で、年金収入が年間200万円の場合

(400万円 - 200万円) ÷ 0.04 = 5000万円
このようにして、必要な退職資金を計算します。

多くの人が定年退職時に5000万円の資産を持つのは難しいでしょう。そのため、早いうちから計画的に資産を形成することが重要です。新NISAやiDeCoを活用することで、効率的に資産を増やすことができます。

新NISAとiDeCoの活用


新NISA
年間360万円、生涯1800万円までの投資が非課税となる制度。長期的にコツコツと積立投資を行うことで、大きな資産を形成できます。


iDeCo
個人型確定拠出年金。毎月の拠出金が全額所得控除され、運用益も非課税となります。老後資金を効率的に積み立てるのに最適です。
これらの制度を活用し、早期から計画的に投資を行うことで、将来の不足資金を補填することが可能です。

日本の老後2000万円問題とインフレ


日本では、老後に2000万円が必要とされる問題が話題となりました。しかし、最近ではインフレの影響により、4000万円が必要とされるという声もあります。これは、インフレ率の上昇によって生活費が増加し、より多くの資産が必要となるためです。

2000万円から4000万円への変化


例えば、インフレ率が年2%で上昇し続けると、以下のように生活費が増加します:

初年度の生活費:2000万円
10年後の生活費:2000万円 × (1 + 0.02)^10 ≈ 2440万円
20年後の生活費:2000万円 × (1 + 0.02)^20 ≈ 2970万円
30年後の生活費:2000万円 × (1 + 0.02)^30 ≈ 3610万円
このように、インフレの影響で老後に必要な資金が増加するため、将来的には4000万円が必要とされる可能性があります。

老後4000万円問題についての記事はこちら

boyasawa.hatenablog.jp

インフレ率と投資リターンの関係


2%から3%のインフレ率が続いても、投資で7%のリターンを得ることができれば、実質的な成長率は約4%となり、4%ルールが有効に機能することがわかります。この関係を理解することが、長期的な資産計画を立てる上で重要です。

 

FIREの4つの形

FIRE(Financial Independence, Retire Early)には4つの形があります。資金が足りない場合でも、これらの形を活用することで早期退職が可能です。

 

 Lean FIRE

ミニマリスト的な生活を送り、必要最小限の支出で生活する形です。少ない資産で早期退職が可能です。生活コストを大幅に削減することで、必要な資産額を抑えることができます。

 

Fat FIRE

より高い生活水準を維持しながら早期退職を目指す形です。多くの資産を必要としますが、豊かな生活を送りたい方に適しています。

 

Barista FIRE

一部リタイアしながら、パートタイムの仕事などで生活費の一部を補う形です。完全リタイアよりも少ない資産で実現可能です。資産が十分にない場合でも、部分的に働くことで早期退職を目指せます。

 

Coast FIRE

若いうちに投資を始め、早期退職後は資産の運用益のみで生活費を賄う形です。時間をかけて資産を増やし、早期退職を目指します。初期の投資が重要であり、早期に投資を開始することで、少ない労働時間で生活費を賄えるようになります。

 

まとめ

4%ルールは、退職後、FIRE後の資産を計画する上で有用なガイドラインですが、その再現性には市場環境や個々の状況に依存する要素があります。ポートフォリオの多様性、インフレ調整、シーケンスリスクの管理などを考慮し、柔軟な計画を立てることが重要です。

また、日本の老後2000万円問題に対しても、4%ルールを活用することで、安心して老後の資金計画を立てることができます。特に、新NISAやiDeCoを活用し、早期から計画的に資産を形成することが、将来の不足資金を補うための重要な手段です。豊かな老後と充実した現在を楽しむためインフレに備えた資産形成を行いましょう!


その他、投資豆知識に関する記事はこちら

boyasawa.hatenablog.jp