底辺会社員の投資備忘録

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世界経済の暴落局面総まとめ

導入

昨年、米国の利上げを発端として景気後退、ハードランディングについて様々な憶測が飛びました。
当時の予想に反して現在ではゴルディロックス(適温)相場、ソフトランディングが可能といいう見方が多くなっているように感じます。
そんな今だからこそ、もしもの時のために過去の暴落局面についてさらっと簡単にですが触れてみましょう。

1929年の世界恐慌

暴落の詳細


直近最高値: 1929年9月3日
底値: 1932年7月8日
価格が元に戻った日: 1954年11月23日

期間


直近最高値から底値まで: 約2年10ヶ月
底値から元に戻るまで: 約22年4ヶ月
下落率: ダウ平均株価は約89%

原因と政府の対策

原因


1920年代、アメリカ経済は非常に好調で、多くの人々が株式市場に投資しました。しかし、株価は実体経済を上回るペースで上昇し、過剰評価されていました。信用取引(借金で株を買うこと)が過度に利用され、バブルが形成されました。この状況で経済の基礎が脆弱であったため、1929年10月24日の「ブラックサーズデイ(Black Thursday)」をきっかけに、株価が急落しました。これにより、銀行破綻や失業率の急上昇などの連鎖的な経済悪化が発生しました。

政府の対策


当初、政府の対応は遅れ、税金の引き上げや財政の引き締めを行ったことが状況を悪化させました。しかし、その後、フランクリン・D・ルーズベルト大統領の下で「ニューディール政策(New Deal)」が導入されました。ニューディール政策には、公共事業を通じた雇用創出、金融機関の安定化策、社会保障制度の確立などが含まれていました。

収束と復帰


ニューディール政策により経済は徐々に回復し始めましたが、完全な回復には第二次世界大戦による経済刺激が必要でした。株価が元の水準に戻るまでには、戦後の経済成長が不可欠であり、1954年までかかりました。

1973年のオイルショック

暴落の詳細


直近最高値: 1973年1月11日
底値: 1974年12月6日
価格が元に戻った日: 1980年11月28日

期間


直近最高値から底値まで: 約1年11ヶ月
底値から元に戻るまで: 約6年
下落率: ダウ平均株価は約45%、日経平均株価は約50%

原因と政府の対策

原因


1973年、第四次中東戦争の勃発を機に、石油輸出国機構(OPEC)が石油の供給を大幅に制限し、価格を急激に引き上げました。これにより、エネルギー価格の急騰が発生し、世界的なインフレと経済停滞(スタグフレーション)を引き起こしました。

政府の対策

各国政府はエネルギー節約策を推進し、新しいエネルギー源の開発に取り組みました。米国では価格統制を導入し、エネルギー政策の見直しが行われました。一方、日本は省エネルギー政策を進め、産業構造の転換を図りました。

収束と復帰


これらの対策により、エネルギー供給の多様化が進み、徐々に経済は回復していきました。新しい技術の導入やエネルギー効率の向上が経済の基盤を強化し、1980年までに株価は元に戻りました。

1987年のブラックマンデー

暴落の詳細


直近最高値: 1987年8月25日
底値: 1987年10月19日
価格が元に戻った日: 1989年7月26日

期間

直近最高値から底値まで: 約2ヶ月
底値から元に戻るまで: 約1年9ヶ月
下落率: ダウ平均株価は22.6%(約508ポイント)、日経平均株価は14.9%(約3,836ポイント)

原因と政府の対策

原因


1980年代の好景気により、株価は急騰していました。しかし、プログラム取引(コンピュータによる自動売買)の普及により、市場の変動が急激に増幅されました。さらに、貿易赤字の拡大や金利の上昇も重なり、市場は不安定になりました。

政府の対策


暴落直後、各国の中央銀行は市場に流動性を供給し、金利を引き下げることで市場の安定を図りました。日本では日銀が迅速に流動性を供給し、市場の信頼回復を支援しました。

収束と復帰


これらの対策により市場は比較的早く安定し、株価も1989年には元に戻りました。短期間での回復は、中央銀行の迅速な対応が功を奏した例です。

2000年のITバブル崩壊

暴落の詳細

直近最高値: 2000年3月10日
底値: 2002年10月9日
価格が元に戻った日: 2015年4月24日

期間

直近最高値から底値まで: 約2年7ヶ月
底値から元に戻るまで: 約12年6ヶ月
下落率: ナスダック総合指数は約78%、日経平均株価は約63%

原因と政府の対策

原因

1990年代後半、インターネットの普及によりIT企業の株価が急騰しました。投資家は将来の成長に対する期待からIT企業に過剰に投資し、バブルが形成されました。しかし、2000年に入り、企業の実態が期待に追いつかず、株価は急落しました。

政府の対策

FRB(連邦準備制度理事会)は金利を引き下げ、経済を刺激するための財政政策を展開しました。日本では金融機関の再編が進められ、不良債権の処理が行われました。

収束と復帰

経済は徐々に回復し、特にIT産業が再び成長軌道に乗ることで市場も持ち直しました。しかし、元の株価水準に戻るまでにはかなりの時間を要し、2015年にようやく回復しました。

2008年のリーマンショック

暴落の詳細

直近最高値: 2007年10月9日
底値: 2009年3月9日
価格が元に戻った日: 2013年3月5日

期間

直近最高値から底値まで: 約1年5ヶ月
底値から元に戻るまで: 約4年
下落率: ダウ平均株価は約54%、日経平均株価は約60%

原因と政府の対策

原因


2000年代半ば、サブプライム住宅ローン(信用力の低い借り手向けの高リスク住宅ローン)の拡大により、不動産バブルが発生しました。しかし、住宅価格が下落し始めると、ローンの返済が滞り、多くの金融機関が破綻しました。この連鎖的な金融危機がリーマンブラザーズの破綻を引き起こし、世界的な信用危機を招きました。

政府の対策


米国ではTARP(Troubled Asset Relief Program)による金融機関救済が行われ、金融システムの安定化を図りました。FRB(連邦準備制度理事会)は金利をゼロ近くまで引き下げ、量的緩和政策を導入し、市場に大量の資金を供給しました。

日本でも、政府が金融機関への資本注入や公的資金の投入を実施し、金融システムの安定化に努めました。また、日銀(日本銀行)もゼロ金利政策と量的緩和を行い、市場に流動性を供給しました。

収束と復帰


これらの対策により、金融システムの安定化が進み、徐々に市場の信頼が回復しました。株価は2009年3月に底を打ち、経済は回復基調に転じました。しかし、株価が直近の最高値に戻るまでには、4年近くかかり、2013年3月にようやく回復しました。この間に、金融規制の強化や経済構造の改革も進められました。

コロナショック

暴落の詳細

直近最高値: 2020年2月12日
底値: 2020年3月23日
価格が元に戻った日: 2020年8月18日(ダウ平均株価)

期間


直近最高値から底値まで: 約1ヶ月
底値から元に戻るまで: 約5ヶ月
下落率: ダウ平均株価は約37%、日経平均株価は約29%

原因と政府の対策

原因

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界中で拡大し、各国で経済活動の大幅な制限やロックダウンが実施されました。これにより、供給チェーンの混乱、消費の急減、失業の増加など、経済活動が急激に停滞しました。市場では経済の先行きに対する不透明感が増し、大規模な売りが発生しました。

政府の対策

米国
財政政策: トランプ政権と議会は2兆ドル規模の経済刺激策「CARES法(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act)」を可決し、個人や企業への直接支援、失業保険の拡充、中小企業への融資支援を行いました。
金融政策: FRBは緊急利下げを実施し、ゼロ金利政策を導入。さらに大規模な量的緩和を行い、市場に流動性を供給しました。

日本
財政政策: 安倍政権は経済対策として108兆円規模の緊急経済対策を発表し、現金給付や企業支援、医療体制の強化などを実施しました。
金融政策: 日銀は金融緩和政策を強化し、企業への融資支援やETF(上場投資信託)購入額の拡大などを行いました。

収束と復帰


これらの大規模な財政・金融政策により、市場は次第に安定を取り戻しました。特に米国ではテクノロジー株を中心に急速に回復し、2020年8月にはダウ平均株価がコロナショック前の水準に戻りました。日本市場も同様に、政策支援と世界的な市場の回復により、株価は2020年後半にかけて上昇しました。

 

経済市場の暴落に向き合うための対応策

 バブルの兆候を見極める


過去の経験から学ぶと、株価が実体経済の成長を大きく上回る場合、バブルの可能性があります。投資家は過度な楽観主義や過大評価を避け、慎重に市場動向を監視することが重要です。

信用取引のリスクを管理する

信用取引(借金による投資)は、リターンが大きい一方でリスクも高いです。市場が急落した際に大きな損失を被る可能性があるため、過剰な信用取引は避け、リスクを管理することが必要です。

外部ショックに備える

エネルギー価格の変動や地政学的リスクなど、経済の外部要因が市場に大きな影響を与えることがあります。これらの外部ショックに備えるために、常に最新の情報を収集し、市場のリスクを評価することが重要です。

分散投資を行う

特定の資産やセクターに依存することなく、ポートフォリオを多様化することでリスクを軽減できます。異なる資産クラスや地域への分散投資は、予期せぬショックに対する有効な対策です。

プログラム取引と短期変動への対応

プログラム取引(自動売買システム)は市場の変動を増幅する可能性があります。急激な市場変動時でも冷静に判断し、短期的なパニック売りを避けることが重要です。

適切なバリュエーションを重視する

株価の評価を適切に行い、実体経済や企業の業績に基づくバリュエーションを重視することが重要です。過剰な価格上昇に慎重になり、適切な判断を行うことが求められます。

迅速な対応とリスク管理の重要性

市場の急激な変動に対しては迅速かつ適切な対応が求められます。投資家は常にリスクを管理し、適切なヘッジ手段を講じることが重要です。また、政府や中央銀行の政策動向も注視し、それに対応する柔軟な投資戦略を構築する必要があります。

現金の保持と流動性の確保

市場の急落時に備え、一定の現金や流動性の高い資産を保持しておくことが重要です。これにより、低迷した市場での買いのチャンスを逃さずに済みます。

長期的な視点を持つ

短期的な市場の変動に惑わされず、長期的な視点を持つことが重要です。歴史的に見ても、急激な下落後には市場が回復することが多いため、長期的な投資目標を維持することが必要です。

経済のファンダメンタルズを確認する

投資判断を行う際には、経済の基礎的な健全性を確認することが重要です。特に高リスク商品には注意を払い、経済のファンダメンタルズに基づく投資を行うことがリスク管理の基本となります。

最後に

 

ここまで駆け足で過去の暴落について見ていきました。数字としてみると軽く読んでしまいますが、実際に自分の資産が暴落に巻き込まれたら...と考えると戦慄しますね...

僕は比較的現金比率を高い方かなと思いますが、それでも正気を保てる自信がありません...

大勝はできないかもしれませんが、ギャンブル的な運用を避け、現金比率等を適切に管理し市場に長く居続けることが資産運用における必勝法だと思っています。

景気後退懸念はかなり和らいでいるというのが大勢のように感じます。

しかし、半導体関連の過熱感、地政学リスク、各国の経済政策、選挙等の不安要素も多く安心するには早すぎるとも強く感じています。
新NISAの開始で経験の浅い投資家が多く参入したことも国内株には良くも悪くも影響を与えるでしょう。
どんな状態になっても冷静に判断ができるようにシミュレーションと心の準備はしておきたいものです。

では、本日はここまで

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