2024年は米国の大統領選挙の年であり、現職のジョー・バイデン氏と前大統領のドナルド・トランプ氏の一騎打ちが予想されています。本記事では、選挙のスケジュール、それぞれの主な政策、そして各国市場や為替に与える影響について詳しく解説します。また、どちらの候補が勝利した場合に有利または不利となるセクターや企業についても考察します。さらに、現在の地政学リスクとそれぞれの候補者がこれにどう対処するかについても触れ、米国金利、為替(対円)、インフレへの影響を探ります。
米国選挙に関連する今後のスケジュール
- 予備選挙(Primary Elections):各州で行われ、民主党と共和党の候補者が決定されます。予備選挙は2024年初頭から始まり、夏まで続きます。
- 党大会(National Conventions):民主党と共和党がそれぞれの候補者を正式に指名する大会。通常、夏に開催されます。
- 大統領選挙(Presidential Election):2024年11月5日に行われ、最終的な勝者が決定します。
バイデン氏の主な政策と市場への影響
政策の概要
- 環境政策:再生可能エネルギーへの投資を推進し、炭素排出削減を目指す。
- 医療政策:医療保険制度の強化と医療費の削減。
- 経済政策:インフラ投資の拡大と最低賃金の引き上げ。
米国金利への影響
バイデン氏のインフラ投資や環境政策は、長期的には経済成長を促進し、金利の上昇圧力を引き起こす可能性があります。しかし、短期的には財政赤字の拡大が懸念され、連邦準備制度(FRB)が金利を引き下げる余地を慎重に見極めることが必要です。
為替(対円)への影響
バイデン氏の政策が経済成長を促進する場合、米ドルは強くなる傾向があります。特に、日本円に対しては、米ドルの強さが継続する可能性があります。
インフレへの影響
インフラ投資と再生可能エネルギーへの支出は、一時的にインフレ圧力を高める可能性があります。しかし、長期的には生産性の向上やエネルギーコストの削減によって、インフレが抑制される可能性もあります。
トランプ氏の主な政策と市場への影響
政策の概要
- 減税政策:企業および個人の所得税の引き下げを継続。
- 貿易政策:アメリカ第一主義を掲げ、中国などとの貿易摩擦を再燃させる可能性。
- エネルギー政策:化石燃料産業の規制緩和を推進。
米国金利への影響
トランプ氏の減税政策は短期的な経済成長を促進し、金利の上昇圧力を引き起こす可能性があります。しかし、貿易摩擦の再燃は経済の不確実性を高め、FRBが金利を据え置くか、さらなる利下げを検討する要因となるかもしれません。
為替(対円)への影響
トランプ氏の政策が米国経済を短期的に強化する場合、米ドルは対円で強くなる傾向があります。しかし、貿易摩擦が再燃すると、リスク回避の動きから円高に進む可能性もあります。
インフレへの影響
減税政策による経済刺激策は、一時的にインフレを押し上げる可能性があります。特に、労働市場がタイトな状況では賃金の上昇がインフレを加速させる要因となります。一方で、エネルギー政策の規制緩和はエネルギーコストの低下をもたらし、インフレ抑制に寄与する可能性もあります。
有利となるセクターと不利になるセクター
バイデン氏勝利の場合
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有利なセクター:再生可能エネルギー、インフラ、テクノロジー。
- 再生可能エネルギー:政策支援により企業業績が向上する可能性。
- インフラ:大規模なインフラ投資計画により、建設業や素材産業に恩恵。
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不利なセクター:化石燃料、製薬。
- 化石燃料:環境規制強化によりコスト増加や需要減少の可能性。
- 製薬:医療保険制度改革により、価格引き下げ圧力。
トランプ氏勝利の場合
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有利なセクター:化石燃料、製造業、金融。
- 化石燃料:規制緩和により、利益率が向上。
- 製造業:貿易政策により、国内生産が促進される可能性。
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不利なセクター:テクノロジー、輸出依存型企業。
- テクノロジー:貿易摩擦により、サプライチェーンに影響が出る可能性。
- 輸出依存型企業:貿易戦争により、関税引き上げや市場アクセスが制限されるリスク。
地政学リスクとそれぞれの候補者の対応
ロシアウクライナ問題
- バイデン氏の対応:バイデン政権はウクライナへの軍事支援を強化し、ロシアに対して厳しい制裁を継続する姿勢を示しています。この対応は、エネルギー価格の上昇を引き起こし、インフレを加速させる可能性があります。
- トランプ氏の対応:トランプ氏はロシアとの対話を重視し、ウクライナ問題に対するアプローチを緩和する可能性があります。これによりエネルギー市場の安定化が期待され、インフレ圧力が低下するかもしれません。
イスラエルパレスチナ問題
- バイデン氏の対応:バイデン政権は二国家解決の支持を表明し、外交的手段を通じて緊張を緩和する方針を取っています。この方針は中東の安定化に寄与し、エネルギー価格の安定に繋がる可能性があります。
- トランプ氏の対応:トランプ氏はイスラエル寄りの政策を強化し、パレスチナとの緊張を高める可能性があります。これにより中東地域の不安定が増し、エネルギー価格の上昇とインフレ圧力が高まるリスクがあります。
ロシアと北朝鮮の軍事相互援助
- バイデン氏の対応:バイデン政権は同盟国と連携し、北朝鮮とロシアに対して厳しい制裁を科す方針です。これにより、地政学リスクが高まり、リスク回避の動きから円高が進む可能性があります。
- トランプ氏の対応:トランプ氏は北朝鮮との直接対話を重視し、ロシアとの関係も緩和する可能性があります。これにより、地政学リスクが低下し、ドル高が進む可能性があります。
欧州の右派勢力台頭に伴う政治不安定
- バイデン氏の対応:バイデン政権は欧州の政治安定化を支援し、NATOとの協力を強化する方針です。これにより、欧州の政治不安定が米国に与える影響を最小限に抑えることが期待されます。
- トランプ氏の対応:トランプ氏はNATOに対する批判を繰り返しており、欧州との関係が緊張する可能性があります。これにより、欧州の不安定が米国経済に波及し、FRBが金利を引き下げる必要が生じるかもしれません。
結論
2024年の米国大統領選挙は、バイデン氏とトランプ氏の対決が市場に大きな影響を与える可能性があります。別記事でトランプ氏の政策とその影響について解説しましたので対比として、バイデン氏、トランプ氏の政策や方針等をザックリ解説できるよう記事を作成しました。
両候補の政策を理解し、それぞれの勝利がどのセクターや企業に有利または不利となるかを見極めることが、投資戦略を構築する上で重要です。しつこいインフレにもようやく利上げの効果が表れ、利下げ目前という意見も出始めているタイミングでもありますので株式、市場為替も通常以上に敏感な反応を示すのではないでしょうか。
地政学的な問題も何やら騒がしいですし、当面落ち着けそうにないですね。
では、本日はここまで
「もしトラ」についての記事はこちら
boyasawa.hatenablog.jp
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